Q.  【年末調整】退職所得の計算式とは?

A.

退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与およびこれらの性質を有する給与(これらを「退職手当等」といいます。)に係る所得をいいます。

すなわち、退職所得として課税される退職手当等とは、退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。

出典:No.2725 退職所得となるもの(国税庁HP)

退職に際しまたは退職後に使用者等から支払われる給与で、支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とされます。

給与所得者の扶養控除等申告書は、その給与所得者が提出の際に経由した給与等の支払者のもとを退職したときにその効力を失うものとされています。

したがって、退職者に退職後に支給期が到来する給与等を支払う場合には、原則として給与所得の源泉徴収税額表の乙欄により源泉徴収税額を求めます。

ただし、退職後その年中に給与等の支給をする時において、その退職した者がほかの給与等の支払者を経由して給与所得者の扶養控除等申告書を提出していないことが明らかな場合には、退職後も給与所得者の扶養控除等申告書が引き続き効力を有するものとして、給与所得の源泉徴収税額表の甲欄により源泉徴収税額を求めても差し支えありません。

出典:No.2739 退職後に支給される給与等の源泉徴収(国税庁HP)

退職所得の計算方法

退職所得の金額は、原則として、次のように計算します。

(収入金額(源泉徴収される前の金額) - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額

なお、確定給付企業年金規約に基づいて支給される退職一時金などで、従業員自身が負担した保険料または掛金がある場合には、その支給額から従業員が負担した保険料または掛金の金額を差し引いた残額を退職所得の収入金額とします。

(注1)退職手当等が「特定役員退職手当等」に該当する場合

特定役員退職手当等(役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職手当等のうち、その役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるもの)については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になります(上記計算式の2分の1計算の適用はありません。)。

「役員等勤続年数」とは、退職金等に係る勤続期間のうち、役員等として勤務した期間の年数(1年未満の端数がある場合はその端数を1年に切り上げたもの)をいいます。

(1)「役員等」とは、次に掲げる人をいいます。

1 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事、清算人や法人の経営に従事している者で一定の者

2 国会議員や地方公共団体の議会の議員

3 国家公務員や地方公務員

(2)「役員等勤続年数」とは、役員等に支払われる退職手当等の勤続期間のうち、役員等として勤務した期間(以下「役員等勤続期間」といいます。)の年数(1年未満の端数がある場合には、その端数を1年に切り上げたもの)をいいます。

(例) 役員等勤続期間が4年11か月の場合は、役員等勤続年数が5年となることから、特定役員退職手当等に該当します。また、役員等勤続期間が5年1か月の場合は役員等勤続年数が6年となることから特定役員退職手当等には該当しません。

計算方法・計算式

(1) 特定役員退職手当等についての退職所得の金額の計算は、原則として次のとおり行います。

イ その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等のみの場合

退職所得の金額 = 特定役員退職手当等の収入金額 - 退職所得控除額

出典:No.2737 役員等の勤続年数が5年以下の者に対する退職手当等(特定役員退職手当等)(国税庁HP)

ロ その年中に支払われる退職手当等が、特定役員退職手当等以外の退特定役員退職手当等と職手当等(以下「一般退職手当等」といいます。)の場合

(1) 一般退職手当等と短期退職手当等がある場合(特定役員退職手当等がある場合を除きます。)

イ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 ≦ 300万円 の場合

退職所得の金額 =(短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額)× 1/2 +(一般退職手当等の収入金額 – 一般退職所得控除額)× 1/2

ロ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 > 300万円 の場合

退職所得の金額 = 150万円 + {短期退職手当等の収入金額 -(300万円 + 短期退職所得控除額)} +(一般退職手当等の収入金額 – 一般退職所得控除額)× 1/2

(2) 一般退職手当等と特定役員退職手当等がある場合(短期退職手当等がある場合を除きます。)

退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 – 特定役員退職所得控除額)+(一般退職手当等の収入金額 – 一般退職所得控除額)× 1/2

(3) 短期退職手当等と特定役員退職手当等がある場合(一般退職手当等がある場合を除きます。)

イ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 ≦ 300万円 の場合

退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 – 特定役員退職所得控除額)+(短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額)× 1/2

ロ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 > 300万円 の場合

退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 – 特定役員退職所得控除額)+ 150万円 + {短期退職手当等の収入金額 -(300万円 + 短期退職所得控除額)}

(4) 一般退職手当等、短期退職手当等および特定役員退職手当等がある場合

イ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 ≦ 300万円 の場合

退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 – 特定役員退職所得控除額)+(短期退職手当等の収入金額-短期退職所得控除額)× 1/2+(一般退職手当等の収入金額 – 一般退職所得控除額)× 1/2

ロ 「短期退職手当等の収入金額 – 短期退職所得控除額」 > 300万円 の場合

退職所得の金額 =(特定役員退職手当等の収入金額 – 特定役員退職所得控除額)+ 150万円 + {短期退職手当等の収入金額 -(300万円 + 短期退職所得控除額)} +(一般退職手当等の収入金額 – 一般退職所得控除額)× 1/2

出典:No.2741 同じ年に一般退職手当等のほか、短期退職手当等や特定役員退職手当等がある場合(令和4年1月1日以後)(国税庁HP)

(注2)退職手当等が「短期退職手当等」に該当する場合(令和4年分以後適用)

短期退職手当等とは、短期勤続年数(役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下であるものをいい、この勤続年数については、役員等として勤務した期間がある場合には、その期間を含めて計算します。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであって、特定役員退職手当等に該当しないものをいいます。

短期退職手当等については、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額のうち300万円を超える部分については、上記計算式の2分の1計算の適用はありません。

「短期勤続年数」とは、役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数が5年以下であるものをいい、この勤続年数については役員等として勤務した期間がある場合、その期間を含めて計算します。

出典:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)(国税庁HP)

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